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2026-07-28 · 年収

英語が使えるとエンジニアの年収はいくら上がるか|掲載求人417件の実データ

英語が使えるエンジニア向けの求人417件(2026年7月時点)を集計すると、提示年収の上限は中央値1,100万円、下限は中央値700万円だった。転職実績ベースでは英語「不可」674.2万円に対し「上級」877.8万円で、差は約203万円(約1.3倍)。ただし求人票の提示額は実際の受取額ではない。

「英語を勉強すれば年収は上がるのか」。この問いに対する既存の記事の答えは、ほとんどが相場感の提示にとどまっています。この記事では、当媒体に掲載中の求人417件の実データと、転職エージェントが公表している英語力別の実績データを突き合わせて、金額で答えます。集計方法と、求人票の数字を読むときに間違えやすい点も最後にまとめました。

English summary

We analysed all 417 engineering roles listed on Tokyo Samurai Dev as of July 2026. The median top-of-range salary is ¥11.0M and the median bottom-of-range is ¥7.0M; 45.8% of roles advertise ¥12M or more at the top of their band. For comparison, JAC Recruitment reports an average expected salary of ¥6.74M for IT professionals with no English and ¥8.78M for those at an advanced level. Two caveats matter. First, these are advertised ceilings, not signed offers. Second, 96.6% of the roles we list still require business-level Japanese — English on its own does not open this market. If you read English but not Japanese, the practical takeaway is that Japanese is the entry ticket to this salary band, not the optional extra. Browse the current openings here.

結論:提示年収は上限の中央値1,100万円、下限の中央値700万円

英語が使えるエンジニア向け求人の提示年収は、上限の中央値が1,100万円、下限の中央値が700万円です(掲載417件のうち年収提示のある395件・2026年7月時点)。当媒体は英語が使えるエンジニア向けの求人を集めているため、この分布は「英語力を前提とした求人市場」の姿とみなせます。

提示年収の代表値(掲載求人417件のうち年収提示のある395件)
指標金額
提示レンジ上限の中央値1,100万円
提示レンジ下限の中央値700万円
上限の四分位範囲(下位25%〜上位25%)800万円〜1,500万円
上限の最高額5,000万円

出典: 当媒体の掲載求人417件(2026年7月時点)を集計。年収提示のある395件が対象。

注目すべきは下限の中央値が700万円である点です。つまりこの市場の求人は、多くが「700万円から」始まり「1,100万円まで」の幅で提示されています。スタート地点がすでに、後述する英語不可層の平均年収に近い水準にあります。

英語力別の年収差は約1.3〜1.5倍:転職実績データが示す水準

実際に転職した人の年収で見ると、英語「不可」と「上級」の差は約203万円、「第一言語レベル」との差は約342万円です。JAC Recruitmentが2024年1月〜2025年12月の転職実績をもとに公表しているIT職種の平均想定年収が下の表です。ここでいう「中級」とは面接や会議に参加できる水準、「上級」とは社内外のグローバル会議や折衝に不自由しない水準を指します。

英語力別 IT職種の平均想定年収(JAC Recruitment・2024年1月〜2025年12月の転職実績)
英語力平均想定年収「不可」との差
第一言語レベル1,016.5万円+342.3万円(約1.51倍)
上級(グローバル会議・折衝に不自由しない)877.8万円+203.6万円(約1.30倍)
中級(面接・会議参加が可能)873.9万円+199.7万円(約1.30倍)
初級(読み書きでの使用)736.2万円+62.0万円(約1.09倍)
不可674.2万円

出典: JAC Recruitment「エンジニアに英語力は必要?」(IT職種の列を引用)。同社は母数を公表していないため、この差は参考値として扱ってください。

ここから読み取れることが2つあります。1つは、初級(読み書き)から中級(会議参加)へ上がるところに最大の段差があること。差は約138万円で、この区間の伸びが最も大きく、学習投資の効果が出やすい可能性があります(ただし母数は非公表です)。もう1つは、中級と上級の差がほぼ無いこと(873.9万円と877.8万円)。会議に参加できる水準に達したあとは、英語をさらに磨くより技術や職責を上げるほうが年収に効くと考えられます。

年収分布:提示上限1,200万円以上が45.8%

提示上限が1,200万円以上の求人は181件・45.8%で、1,000万円超まで広げると59.5%を占めます。平均値だけでは自分がどこに入るのか分からないため、分布で見ます。

提示年収(上限)の分布・395件
年収帯(提示上限)件数割合
1,200万円〜181件45.8%
1,000〜1,200万円54件13.7%
800〜1,000万円89件22.5%
600〜800万円45件11.4%
〜600万円26件6.6%

出典: 当媒体の掲載求人417件(2026年7月時点)のうち年収提示のある395件を集計。

一方で600万円未満も6.6%あり、「英語が使える求人=すべて高年収」ではありません。分布の広さは、同じ英語力でも職責と技術で行き先が大きく変わることを示しています。

技術スタックで年収に差はあるか:最高はAzureの1,400万円

差はありますが、英語力による差より小さく、100万〜300万円の範囲に収まります。求人数の多い技術を、提示上限の中央値が高い順に並べました。

技術スタック別・提示年収上限の中央値(求人数49件以上のもの)
技術求人数提示上限の中央値
Azure65件1,400万円
Data & AI130件1,200万円
AWS129件1,200万円
GCP104件1,200万円
Python97件1,200万円
React91件1,200万円
TypeScript84件1,200万円
Docker63件1,150万円
Terraform65件1,100万円

出典: 当媒体の掲載求人417件(2026年7月時点)を集計。1求人が複数の技術に該当するため、件数の合計は総数と一致しません。

求人数で見ると、Data & AIが130件で最多、次いでAWS 129件、GCP 104件と、クラウドとデータ領域が市場の中心にあります。英語力に加えてこの領域の経験があると、応募できる求人の母数そのものが大きくなります。

ここまでの数字は、いま実際に募集している求人から算出しています。自分の技術と英語力でどのレンジに応募できるかは、条件を絞って見るのが早いです。

掲載中の求人を年収・日本語レベルで絞って見る

「英語ができれば年収が上がる」は半分しか正しくない

この市場の実質的な条件は、英語ではなく英語と日本語の両方です。掲載求人417件の日本語要件を集計すると、96.6%がビジネスレベル以上を求めていました。ここでいうビジネスレベルとは、求人票の要件区分のうち「業務上のやり取りを日本語で完結できる」水準として企業が指定したものを指します(当媒体の掲載時に3区分で分類しています)。

掲載求人の日本語要件・417件
日本語要件件数割合
ビジネスレベル以上403件96.6%
日常会話レベル11件2.6%
日本語不問3件0.7%

出典: 当媒体の掲載求人417件(2026年7月時点)を集計。

つまり、この年収帯に入るための入口は「英語ができること」ではなく「英語と日本語の両方が使えること」です。日本語で社内の仕事を進めながら、対外的な折衝や海外拠点との連携を英語で担える人が希少であり、その希少性が年収に表れています。英語だけを磨いても、応募できる求人は残りの3.3%に限られます。

紹介の現場で企業側が挙げる理由も一貫しています。開発の会話は英語でも成立するが、仕様の合意、法務・情報システム部門との調整、顧客への説明といった工程が日本語で回っているため、そこを他人に頼る前提だと採用の意思決定が通りにくい、というものです。英語要件が強い求人でも、英語が使われるのは海外拠点との連携やドキュメントであり、社内調整は日本語という組み合わせが多く見られます。

この希少性には構造的な背景もあります。経済産業省の調査では、日本のIT人材は2030年に最大で約79万人不足すると試算されています(IT人材需給に関する調査)。ただしこれは2019年公表の推計です。最新の需給見通しは公式資料で確認してください。母集団そのものが足りないところに二言語の条件が重なるため、条件を満たす人の交渉力は当面下がりにくいと考えられます。

求人票の年収をどう読むか:上限提示額は受取額ではない

求人票の上限額は「その職務で最大限出せる額」であり、入社時の提示額ではありません。この記事の1,100万円は上限の中央値であって、内定額の中央値ではありません。実態に近いのは下限中央値700万円と上限中央値1,100万円の間のどこかで、経験年数と面接評価で位置が決まります。

加えて、提示額に何が含まれるかは求人ごとに違います。固定残業代・賞与・ストックオプションの扱いは統一されていないため、レンジの大小だけで比較すると誤ります。

またこの集計は当媒体の掲載求人という母集団の特性を持ちます。英語が使えるエンジニア向けの求人を選んで掲載しているため、日本のエンジニア求人全体の平均より高く出ます。日本全体の賃金水準と比べたい場合は、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で職種別の統計を参照してください。この記事で同調査から年収額を引用していないのは、同調査が月額給与と賞与を分けて公表しており、そこから算出される「年収」の値は算出方法によって差が出るためです。比較する際は、算出根拠を揃えたうえで確認することをおすすめします。

高年収の求人はリモートで働けるか:フルリモートは11.8%

英語を使う求人でフルリモート可は11.8%(49件)にとどまり、出社が46.8%で最多です。英語を使う求人はリモートが多いと思われがちですが、実データはそうなっていません。

掲載求人の勤務形態・417件
勤務形態件数割合
出社195件46.8%
ハイブリッド(出社とリモートの併用)173件41.5%
フルリモート49件11.8%

出典: 当媒体の掲載求人417件(2026年7月時点)を集計。勤務地は80.1%(334件)が東京。

勤務地の8割が東京に集中しています。年収レンジの上位を狙うなら、当面は首都圏で働ける前提が要ると考えたほうが現実的です。

英語力を年収に変えるために、次にやること

データから導かれる優先順位は次の3つです。

1. 読み書きから「会議に参加できる」水準へ引き上げる。 目標は完璧な英語ではなく、仕様や進捗の議論に自分から発言して入れること。社内の英語会議に議事録係として入る、海外チームとのやり取りを英語で自分が起票する、といった実務の中で回数を稼ぐのが近道です。

2. 日本語を業務が完結する水準まで固める。 応募資格の入口はここです。英語より先に着手する価値があります。

3. クラウドかデータ領域の実務経験を足す。 求人数が多く、提示上限の中央値も揃って高い領域です。英語力と掛け合わせると、応募可能な求人の母数が一段増えます。

この集計の方法

検証できるように、集計の条件を明示します。

エンジニアの英語力と年収についてよくある質問

英語ができるだけでエンジニアの年収は上がりますか?
英語単独では上がりません。JAC Recruitmentの転職実績では、IT職種の平均想定年収は英語「不可」674.2万円に対し「上級」877.8万円と差がありますが、これは英語力が高い人ほど裁量の大きい職務に就いている結果を含みます。掲載求人417件でも96.6%がビジネスレベル以上の日本語を求めており、英語は応募できる求人の幅を広げる条件であって、それ自体が昇給要因ではありません。
英語を使うエンジニア求人は、日本語ができなくても応募できますか?
ほとんどできません。掲載求人417件のうち日本語不問はごく少数にとどまり、96.6%にあたる403件がビジネスレベル以上の日本語を要件にしています。この年収帯の求人では、英語と日本語の両方が使えることが前提条件になっています。
英語を使うエンジニア求人はフルリモートが多いですか?
多くありません。417件のうちフルリモート可は11.8%(49件)で、出社とリモートを併用するハイブリッドを含めても53.2%です。勤務地は80.1%が東京に集中しており、居住地の選択肢が広いわけではありません。

まとめ:年収を動かすのは英語・日本語・技術領域の掛け算

英語が使えるエンジニア向けの求人は、提示年収の上限が中央値1,100万円、下限が中央値700万円で、上限1,200万円以上の求人が45.8%を占めます。転職実績で見た英語力による差は約1.3〜1.5倍ですが、最大の段差は初級と中級の間にあり、会議に参加できる水準を超えたあとの伸びは緩やかです。そして掲載求人の96.6%は日本語も求めています。年収を動かすのは英語単独ではなく、英語・日本語・技術領域の3つの掛け算です。

この記事の数値は2026年7月時点の掲載求人にもとづくもので、求人の追加・終了に合わせて更新しています。自分の条件に合う求人がいまどれだけあるかは、直接確認するのが確実です。

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